「地球生活記」を読む
著者の小松義夫氏を知ったのは、常滑にあるINAXライブミュージアムに行った際、偶然この人の展覧会「土と水のドナウ紀行小松義夫&衛子 記憶への旅・ルーマニア」が開催されていて見たのがきっかけ。
ルーマニアの田舎の人々の豊かな表情と、生活ぶりが生き生きと伝わってくる写真ばかり。一目で「この人はすごい写真家だ」と思った。
早速「地球生活記-世界ぐるりと家めぐり-」(福音館書店)を読んでみた。というか見てみた。
まずその膨大な数の写真に圧倒される。その量は、著者がこの仕事にいかに情熱を燃やしているかを表しているかのようである。
また、写真の質の高さに驚かされる。彼の写真は自然や町並みは写っているが、普通の風景写真ではなく、人は写っているが単なるポートレートではない。そこには、人々のエネルギッシュな生活と、その生活が営まれている場が、まるで臭いまでもが伝わってくるような臨場感で写し出されている。
人々の表情もすばらしい。
初めて出会った外国人のカメラに向ける眼差しではない。
どうやったらこんな写真が撮れるのだろう。
どのようなすべで、相手の懐に飛び込んでいくのだろう。
出てくる建物、生活スタイルがこれまた個性的。
例えばセネガルの家では、雨水を集めるために、家の屋根が漏斗状になっていて、家の中心に雨が流れ込むようになっている。
「同じホモ・サピエンスという同一の種でありながら、よくもまあこれだけいろいろな家を建て、いろいろな生活をしているなあ」と思ってしまう。
住まい方というものは気候や風土、文化や風習に強く影響されるものであるが、中には「何で造ってあるのだろうか」とか「どうしたらこんな家になってしまうのだろうか」というものもある。
そんな読み手の疑問に対して、わかる範囲で適切な解説がつけてあり、なるほどと思う。
ここに出てくる人たちの多くは素朴な家で質素な生活をしている。
それに比べて、私たちの家づくりは何とわがままで、物欲にまみれていることか。
モノで幸せになることなど出来ないことは分かっているのに。
家づくりにはあまり参考にならないが、「外国には、こんなおもしろいおうちで楽しく暮らしている人たちがいるんだよ」と、親子で楽しんでもらいたい一冊だ。
また、「住まいなんて、ちょっとくらい不便だったり、失敗があったっていいじゃん」と大きな気持ちにしてくれる一冊である。何度見ても楽しい。
「土と水のドナウ紀行小松義夫&衛子 記憶への旅・ルーマニア」はINAXライブミュージアムの「土・どろんこ館」にて、3月11日まで開催している。
興味のある方はお早めに。
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