2007年3月 1日 (木)

「地球生活記」を読む

著者の小松義夫氏を知ったのは、常滑にあるINAXライブミュージアムに行った際、偶然この人の展覧会「土と水のドナウ紀行小松義夫&衛子 記憶への旅・ルーマニア」が開催されていて見たのがきっかけ。

ルーマニアの田舎の人々の豊かな表情と、生活ぶりが生き生きと伝わってくる写真ばかり。一目で「この人はすごい写真家だ」と思った。

早速「地球生活記-世界ぐるりと家めぐり-」(福音館書店)を読んでみた。というか見てみた。

まずその膨大な数の写真に圧倒される。その量は、著者がこの仕事にいかに情熱を燃やしているかを表しているかのようである。

また、写真の質の高さに驚かされる。彼の写真は自然や町並みは写っているが、普通の風景写真ではなく、人は写っているが単なるポートレートではない。そこには、人々のエネルギッシュな生活と、その生活が営まれている場が、まるで臭いまでもが伝わってくるような臨場感で写し出されている。

人々の表情もすばらしい。
初めて出会った外国人のカメラに向ける眼差しではない。
どうやったらこんな写真が撮れるのだろう。
どのようなすべで、相手の懐に飛び込んでいくのだろう。

出てくる建物、生活スタイルがこれまた個性的。
例えばセネガルの家では、雨水を集めるために、家の屋根が漏斗状になっていて、家の中心に雨が流れ込むようになっている。

「同じホモ・サピエンスという同一の種でありながら、よくもまあこれだけいろいろな家を建て、いろいろな生活をしているなあ」と思ってしまう。
住まい方というものは気候や風土、文化や風習に強く影響されるものであるが、中には「何で造ってあるのだろうか」とか「どうしたらこんな家になってしまうのだろうか」というものもある。
そんな読み手の疑問に対して、わかる範囲で適切な解説がつけてあり、なるほどと思う。

ここに出てくる人たちの多くは素朴な家で質素な生活をしている。
それに比べて、私たちの家づくりは何とわがままで、物欲にまみれていることか。
モノで幸せになることなど出来ないことは分かっているのに。

家づくりにはあまり参考にならないが、「外国には、こんなおもしろいおうちで楽しく暮らしている人たちがいるんだよ」と、親子で楽しんでもらいたい一冊だ。
また、「住まいなんて、ちょっとくらい不便だったり、失敗があったっていいじゃん」と大きな気持ちにしてくれる一冊である。何度見ても楽しい。

「土と水のドナウ紀行小松義夫&衛子 記憶への旅・ルーマニア」INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」にて、3月11日まで開催している。

興味のある方はお早めに。

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2007年2月 1日 (木)

「棟梁に学ぶ家図解木造伝統工法基本と実践」を読む

上棟があまりにも興味深く楽しかったので、私は以前丸善で見かけたことがあるこの本を図書館で借りてみた(高くてちょっと買えない)。
現場で見せてもらった、番付表(板図)と呼ばれる木の設計図のつくり方やら、さしがね、すみつぼの使い方、ほぞなどの仕口のつくり方、建前の手順などを示した伝統工法の教科書のような本である。
図が多用してあり興味があれば素人でも楽しめる。

Itazu

↑番付表

特に仕口の種類、特長や、その刻み方などはたいへん詳細で、鎌継ぎや蟻組みなど、我が家でも多用されている仕口から、複雑なもの、特別な機能をもったものなどいろいろある。たとえば「地獄蟻」などという恐ろしげな名前の組み手があるが、これはほぞの先端にあらかじめくさびを打っておき、貫通していないほぞ穴に打ち込むと、くさびによってほぞが広がり二度と抜けなくなるというもの。束に使用することによって鴨居などの材のたわみを防ぐという。

Dodai

↑我が家の土台の鎌継ぎと蟻組み

Nuki01

↑柱を貫通させて、貫を通すのも伝統的な工法のひとつ

Living

↑この組み手は何というのだろう

また、元口(木の根本側)と末口(先端側)を見分け仕口を刻んだり、1本1本の反りを見分けて木選びするなど、気づかぬところでいろいろな工夫や行程があることが分かる。
これら本に書けることは、大工さんの技術や経験といった、体で覚えてきたことのほんの一部にすぎないと思うが、日本の木造建築の歴史と英知の一部を垣間見ることが出来てうれしい。上棟前に読んでおけたら、もっと上棟を楽しむことが出来たかもしれない。

ちなみに私が借りた本は、初版で本で、現在出版されているのは改訂された第2版であることをお断りしておく。

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